宇宙のしごと

ロケット・衛星をつくるエンジニアの仕事マップ

「宇宙をつくる」技術職と聞くと、ひとくくりに思えるかもしれません。でも実際は、機械・電気・ソフトウェア・通信など、多くの専門に分かれています。ロケットと衛星では必要な技術が違い、それらを動かす地上系も大きな仕事です。この地図を持つと、自分の専門がどこで活きるかが見えてきます。

クリーンルームでロケットエンジンや人工衛星の機器を組み立て・試験するエンジニアたちの写真

かんたんな答え

まず結論から

「宇宙をつくる」技術職は専門ごとに幅広く分かれている。

機械(構造・推進・熱)、電気・電子、ソフトウェア(搭載/地上/データ処理)、通信、システムエンジニアリング、試験・品質、製造など。ロケットと衛星で必要な技術は違い、地上系も大きな領域です。宇宙工学専攻でなくても、機械・電気・情報・通信など一般的な工学を転用して入る人が多くいます。

もくじ
  1. 宇宙をつくる主な技術職
  2. 技術職を整理する3つの視点
  3. よくある誤解
  4. よくある質問

宇宙をつくる主な技術職

宇宙をつくる主な技術職と、それぞれが担う役割
機械ロケットや衛星の「骨格」をつくる領域。構造(強度・形)、推進(エンジンや燃料)、熱(宇宙の極端な寒暖から守る設計)などに分かれます。
電気・電子電源や基板など、機器に電気を届け、信号を扱う領域。限られた電力で確実に動く回路を設計します。
ソフトウェア搭載(機体の中で動く)・地上(管制する)・データ処理(受け取った情報を扱う)の3つの場面で活躍する領域です。
通信電波を使って宇宙と地上をつなぐ領域。アンテナや地上局など、見えない通り道を設計・運用します。
システム個々の部品ではなく全体を見渡し、要素を組み合わせて1つの機体として成り立たせる「全体設計」の領域です。
品質・試験つくったものが本当に宇宙で動くかを確かめ、安全と信頼性を守る領域。やり直しのきかない打ち上げを支えます。

これらに加えて、誘導制御や製造などの領域もあります。ひとつの機体は、多くの専門の人たちが力を合わせてつくり上げます。

ロケット・衛星・地上系の3領域に、機械や電気やソフトなどの技術職を割り当てた仕事マップ
図:技術職は「つくる対象(ロケット/衛星/地上系)」×「専門(機械・電気・ソフト・通信ほか)」で整理できる。

技術職を整理する3つの視点

  1. つくる対象を選ぶ(ロケット/衛星/地上系)まずは何をつくる仕事かで分けると見通せます。ロケットと衛星では必要な技術が違い、さらに衛星を動かす地上系(管制ソフト・通信局・データ受信)も大きな領域です。どの対象に心が動くかが出発点になります。
  2. 自分の専門の工学を当てる宇宙工学を専攻していなくても大丈夫です。機械・電気・情報・通信といった一般的な工学の知識を転用して入る人が多くいます。今学んでいる(学んできた)分野が、宇宙のどの技術職とつながるかを重ねてみましょう。
  3. 宇宙特有の制約を学ぶ真空・放射線・激しい振動、そして打ち上げ後はやり直しがきかない——こうした宇宙ならではの制約を理解していくことが、どの技術職にも共通する出発点です。専門の上に、この前提を少しずつ積み上げていきます。

よくある誤解

「宇宙の技術職=宇宙工学を学んだ人だけ」だと思い込んでしまう

宇宙の技術職は専門ごとに幅広く分かれており、機械・電気・情報・通信など一般的な工学の知識を転用して入る人が多くいます。「宇宙工学専攻でないから無理」とあきらめる前に、自分の専門がどの仕事で活きるかを知ることが近道になります。

  • ロケットと衛星を同じものと見てしまう——必要な技術は領域ごとに違う。
  • 機体づくりだけを見てしまう——地上系(管制ソフト・通信局・データ受信)も大きな領域。
  • 専門を完成させてから挑むものだと思う——宇宙特有の制約はあとから学んでいける。

よくある質問

宇宙工学を専攻していないと、技術職は無理ですか?

いいえ。宇宙工学専攻でなくても、機械・電気・情報・通信など一般的な工学の知識を転用して入る人が多くいます。宇宙特有の制約(真空・放射線・振動・やり直しの難しさ)はあとから学んでいくもので、これがどの技術職にも共通する出発点になります。まずは自分の専門が宇宙のどの仕事とつながるかを考えるのがおすすめです。

宇宙業界にソフトウェアエンジニアの仕事はありますか?

あります。ソフトウェアは機体の中で動く「搭載」、衛星やロケットを管制する「地上」、受け取った情報を扱う「データ処理」と、複数の場面で活躍する大きな領域です。さらに衛星を動かす地上系(管制ソフト・通信局・データ受信)も広く、ソフトウェアの知識を活かせる入り口は数多くあります。

どの工学分野が宇宙の技術職で活きますか?

「宇宙をつくる」技術職は幅広く、機械(構造・推進・熱)、電気・電子、ソフトウェア、通信、システムエンジニアリング、誘導制御、試験・品質、製造などに分かれます。機械・電気・情報・通信といった一般的な工学はそれぞれ活きる場面があり、特定の一分野だけが正解ということはありません。

未経験から技術職を目指せますか?

目指せます。宇宙工学専攻でなくても、機械・電気・情報・通信などの工学知識を転用して入る人が多いからです。鍵になるのは、宇宙特有の制約(真空・放射線・振動・やり直しの難しさ)を学んでいくこと。これが技術職の共通の出発点で、まずは「つくる対象」と「自分の専門」を重ねるところから始められます。

次に読む

宇宙のしごと宇宙業界の全体像 ― どんな会社と仕事があるの?宇宙のしごと衛星データは、何の仕事に使われている?宇宙のしごと宇宙プロジェクトを動かすPM(プロジェクトマネージャー)の仕事

出典

本記事の技術職の区分・前提は、以下の公的な一次情報をもとに記載しています。

文・編集
コペミル編集部
公開日