宇宙のしごと

宇宙業界の「営業・事業開発」って何をするの?

「営業」と聞くと、製品を売り込む姿を思い浮かべるかもしれません。でも宇宙の営業・事業開発の中心は、技術を、顧客の課題の解決策に翻訳することにあります。ロケットの打ち上げ枠や衛星データを、必要とする人の困りごとに結びつけて届ける。文系にも開かれた職種の中身を見ていきます。

会議室で人工衛星の模型を前に、顧客へ提案する宇宙ビジネスの営業担当者たちの写真

かんたんな答え

まず結論から

営業・事業開発は技術を「解決策」に翻訳する仕事。

ロケットの打ち上げ枠・人工衛星・衛星データを、必要とする顧客(官公庁・民間企業・海外)に届けるのが営業・事業開発です。中心は、何ができるかを語ることではなく、相手の困りごとに結びつけて提案すること。研究の深い知識より、課題発見力・調整力・語学・信頼関係づくりといった「橋渡し力」が活きるため、文系にも開かれた職種です。

もくじ
  1. 営業・事業開発の主な仕事
  2. 仕事の動き方をつかむ3つの視点
  3. よくある誤解
  4. よくある質問

営業・事業開発の主な仕事

宇宙業界の営業・事業開発に含まれる主な仕事
新規開拓ロケットの打ち上げ枠・人工衛星・衛星データを必要とする顧客や、新しい使い道(用途)を見つけ出す仕事です。官公庁・民間企業・海外まで、相手は幅広くわたります。
提案・要件整理相手の困りごとをていねいに聞き取り、自社の技術でどう解決できるかに結びつけて提案します。何ができるかではなく、相手の課題を技術に翻訳するのが中心です。
価格・契約提案がまとまったら、条件をすり合わせて契約へと進めます。商談は数か月から数年にわたることも多く、根気よく合意をつくる役割です。
パートナー連携自社だけでは届かない案件のために、社外の企業や機関と組みます。だれと組めば顧客の課題を解けるかを考え、関係をつくっていきます。
海外渉外宇宙の案件は国境を越えることが少なくありません。海外の顧客やパートナーとやり取りし、国際案件を前に進めます。語学や異文化への配慮が活きる領域です。

どの仕事にも共通するのは「相手の課題を技術に結びつける」姿勢です。宇宙の深い専門知識より、橋渡し力が問われます。

顧客の課題を聞き、技術を価値に翻訳して契約に至る、宇宙営業の仕事の流れの図
図:宇宙の営業・事業開発は「課題を聞く→技術を価値に翻訳→提案・契約→長期の関係づくり」を回す仕事。

仕事の動き方をつかむ3つの視点

  1. 顧客の課題をていねいに聞くまずは相手の困りごとを深く聞くことから始まります。自社が何をできるかを語る前に、相手が何に困っているのかを正確につかむ。課題発見力が、ここでいちばん活きます。
  2. 技術を「相手の価値」に翻訳するロケットの打ち上げ枠や衛星データといった技術を、そのまま並べても伝わりません。相手の課題にどう役立つかという「価値」の言葉に翻訳して提案するのが、この仕事の核心です。
  3. 長期の信頼関係を築く宇宙の商談は数か月から数年に及ぶことも珍しくありません。一度きりで終わらせず、調整を重ねて信頼を積み上げる。橋渡し役としての粘り強さが成果につながります。

よくある誤解

「宇宙の営業=理系の専門知識がないと無理」だと思い込んでしまう

技術への理解はあるに越したことはありませんが、この仕事の中心は研究の深い知識ではありません。相手の困りごとを聞き、技術を「価値」に翻訳して届ける橋渡し力こそが問われます。「自分は文系だから」とあきらめる前に、何が本当に求められているのかを知ることが第一歩です。

  • 製品を売り込む仕事だと思う——中心は、相手の課題を技術に結びつける翻訳。
  • すぐ成果が出ると考える——商談は数か月から数年に及ぶことも多い長期戦。
  • 専門知識が前提だと思う——課題発見力・調整力・信頼関係づくりが活きる職種。

よくある質問

文系でも宇宙の営業・事業開発はできますか?

できます。営業・事業開発の中心は、研究の深い知識ではなく「技術を、顧客の課題の解決策に翻訳する」ことです。相手の困りごとを聞き出す課題発見力、社内外をまとめる調整力、信頼関係をつくる力といった『橋渡し力』が活きるため、文系にも開かれた職種です。

必要なスキルは何ですか?

研究者のような専門知識よりも、相手の困りごとをつかむ課題発見力、社内の技術者と社外の顧客・パートナーをつなぐ調整力、そして長い商談を支える信頼関係づくりが中心になります。技術を価値の言葉に翻訳する姿勢があれば、他業界での営業や折衝の経験もそのまま強みになります。

英語・語学は必須ですか?

案件によります。宇宙の商談には海外の顧客やパートナーと進める国際案件が含まれることがあり、その場合は語学や異文化への配慮が活きます。一方で、官公庁や国内企業を相手にする案件も多くあります。語学は強みになりますが、すべての案件で必須というわけではありません。

宇宙の専門知識はどこまで必要ですか?

深い研究知識までは求められないことが多い職種です。中心になるのは、自社の技術が相手の課題をどう解決できるかを結びつける翻訳力で、技術の細部は社内の技術者と連携して補えます。基本的な仕組みを理解しようとする姿勢は大切ですが、それは入ってからでも育てられます。

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出典

本記事の職種の説明・業界動向は、以下の公的な一次情報をもとに記載しています。

文・編集
コペミル編集部
公開日