衛星データの仕事とは?天気・農業・防災での使われ方

「衛星データ」と聞くと遠い世界の話に思えるかもしれません。でも実は、天気予報・農業・防災・物流など、わたしたちの暮らしのすぐそばで使われています。利用領域と仕事の流れを知ると、自分の専門を活かせる接点がきっと見えてきますよ。

  • 衛星データ
  • 地球観測
  • 測位・通信
  • 宇宙のしごと
  • GIS・データ分析
大きなモニターに映る衛星画像(農地や海岸線)を解析するデータアナリストの写真

かんたんな答え

まず結論から

衛星データは暮らしのそばで広く使われている。

衛星を利用する主な領域には「地球観測・測位・通信」があります。地球観測データの解析だけでなく、測位信号や通信サービスを使った仕組みづくりも含まれますよ。データ分析・GIS・アプリ開発・営業など関わる職種は多様なので、必要な専門性も役割ごとに違ってくると覚えておきましょう。

もくじ
  1. 分野別・衛星データの活用例
  2. 仕事につなげる3つの視点
  3. よくある誤解
  4. よくある質問

分野別・衛星データの活用例

衛星データが使われている主な分野と、その活用例
気象雲や水蒸気のようすを宇宙から観測し、天気予報や台風の監視に役立てます。毎日の予報を支える、もっとも身近な衛星データの使い方です。
農業作物の生育のぐあいや、田畑の水の管理を上空から確かめます。どこにどれだけ手をかけるかの判断に、衛星の画像が使われます。
防災災害が起きたときに、被害の範囲や浸水した区域を素早く把握します。雲の下も見えるレーダーの画像が、状況確認に役立ちます。
物流・海運衛星測位を使って車両や荷物の位置を把握し、配送ルートや運行計画の改善につなげます。船舶では、衛星経由で受信するAISなども状況把握に使われます。
インフラ・金融橋や設備などの点検、経済活動のようすの把握に使われます。広い範囲を定期的に見られる衛星データならではの使い道です。

地球観測・測位・通信は仕組みも扱う情報も異なります。応募先がどの領域で、データ取得・解析・サービス開発のどこを担うのかまで確認してみると安心ですよ。

地球観測・測位・通信の3領域が、気象や農業などの用途につながる関係図
図:衛星を利用する地球観測・測位・通信の各領域が、気象・農業・防災・物流などの用途につながる。

仕事につなげる3つの視点

明るい作業机で、小型衛星模型、抽象的な地図画面のノートパソコン、航空写真風の資料、ノートを見ながら手元で考えている。
  1. 衛星を利用する3つの領域を知る衛星を利用するサービスは、地表や大気を調べる「地球観測」、GNSS(GPSや日本の準天頂衛星システム「みちびき」など)による「測位」、衛星インターネットなどの「通信」に大きく分けられます。たとえばスマホの地図が現在地を示すのは測位、天気予報の雲画像は地球観測、というふうに身近な例に置き換えると整理しやすいですよ。地球観測データだけに絞らず、測位信号や通信サービスまで含めて眺めてみましょう。
  2. 解きたい課題に当てはめる「天気を知りたい」「作物の生育を確かめたい」「災害の範囲を把握したい」——身近な課題に、どの種類のデータが合うかを当てはめてみましょう。いきなり「どんなデータがあるか」から調べ始めると難しく感じがちなので、先に解きたい課題を決めて、そこから必要なデータを逆算するのがコツです。使い道から考えると、衛星データはぐっと身近に感じられますよ。
  3. サービスや判断につなげる集めたデータを分析し、地図にまとめ、アプリや報告として届ける。ここが「衛星データを使う」仕事の中心です。分析・GIS・アプリ開発・営業・コンサルなど、多様な職種が関わっていて、一人ですべてを担うわけではありません。まずは自分の得意分野が、この流れのどこに当てはまるかを探してみると、無理のない関わり方が見えてきますよ。

よくある誤解

「衛星データを扱うには、宇宙の専門知識が必要だ」と思い込んでしまう

衛星データを「使う」仕事(ダウンストリーム)は、近年とくに成長している領域です。データを分析し、地図やアプリ、サービスに変える仕事には、宇宙工学の知識がなくても入りやすい入り口がたくさんありますよ。

  • 専門知識が前提だと思ってしまう——実際は、データ分析・GIS・アプリ開発・営業など、多様な職種が関わっています。
  • 遠い世界だと感じてしまう——実は、天気予報・農業・防災・物流など、使われ方はとても身近です。
  • 触れる機会がないと思ってしまう——国の取り組みで、誰でも試せるオープンな基盤が整いつつありますよ。

よくある質問

衛星データの仕事に、宇宙の専門知識は必要ですか?

必須ではありませんよ。衛星データを「使う」側(ダウンストリーム)は、データ分析・GIS(地図情報)・アプリ開発・営業・コンサルなど、職種が多様です。宇宙工学の知識がなくても、データを扱う力や課題を解決する力があれば入りやすい入り口とされています。

衛星データには、どんな職種がありますか?

データ分析、GIS(地図情報)、アプリ開発、営業、コンサルティングなど多様です。撮った画像や位置情報を分析し、地図やアプリ、レポートとして届けるまでに、さまざまな役割が関わっています。宇宙の専門家でなくても活躍しやすい職種が多いのが、うれしいところですね。

無料で使える衛星データはありますか?

ありますよ。経済産業省が整備したTellusやJAXA Earth APIでは、公開された地球観測データを試せます。ただし、すべてのデータが無料とは限らず、データセットごとに利用条件や必要な前処理が異なります。とくに解像度や撮影頻度の高いデータは有償のことも多いので、まず利用規約と仕様を確認してから触れてみると安心です。

衛星データは、どんな業界で使われていますか?

気象(天気予報・台風監視)、農業(作物の生育・水の管理)、防災(被害把握・浸水域の確認)、物流・海運(船や輸送の最適化)、インフラ点検や経済活動の把握(金融)など、幅広い業界で使われていますよ。地図づくりなど、暮らしのそばにも衛星データが活きています。

地球観測・測位・通信は、どうちがうのですか?

ざっくり言うと、地球観測は「宇宙から地表や大気を見る」、測位は「自分がどこにいるかを知る」、通信は「離れた場所とデータをやりとりする」仕組みです。同じ「衛星データ」でも、扱う情報も関わる技術も異なります。応募先や使いたいサービスがどの領域なのかを見分けられると、必要な専門性の見当がつけやすくなりますよ。

衛星データの仕事を始めるには、まず何から手をつければいいですか?

小さく試すのがおすすめですよ。TellusやJAXA Earth APIなどの公開データで、自分の住む地域の画像を見てみる。QGISのような無料のGISソフトで地図に重ねてみる。こうした小さな一歩から、扱う感覚がつかめてきます。宇宙の理論から入るより、身近な題材で手を動かすほうが続けやすいですよ。

出典

本記事の衛星データの活用例・動向は、以下の公的な一次情報をもとに記載しています。

この記事を書いた人

コペミル編集部星空ソムリエ

YouTube・TikTokで月間1,000万回以上再生される星空動画メディア「宇宙のテルコ」。 星空ソムリエの資格をもつ星好きスタッフが、天文の一次情報にあたりながら、知るほど夜空が楽しくなる——そんな話を、やさしい言葉でお届けします。

文・編集
コペミル編集部
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