宇宙のふしぎ
宇宙に音はあるの? ― 真空とほんとうの静けさ
映画では、宇宙の爆発に大きな音がつきものです。でも本当の宇宙は、おどろくほど静かです。じつは音は空気のような物質の振動が伝わる現象で、その物質がほとんどない宇宙では、音は伝わりません。なぜ宇宙は無音なのか、いっしょに見ていきましょう。
かんたんな答え
まず結論から
宇宙はほぼ真空なので、音は伝わりません。
音は空気などの物質(媒質)の振動が伝わる現象です。宇宙空間はその物質がほとんどない真空に近い状態なので、音は基本的に伝わりません。だから宇宙は無音で、宇宙飛行士どうしは音の代わりに電波(無線)で会話しています。映画の爆発音は、迫力を出すための演出です。
どこで音は伝わる?
| 空気中 | 伝わります。空気の粒が次々に振動を伝えるため、音の速さはおよそ秒速340m(約340m/s)です。 |
|---|---|
| 水中 | 伝わります。水は空気より粒が密に詰まっているので、音は空気中よりもさらに速く伝わります。 |
| 宇宙のほぼ真空 | 伝わりません。音を伝える物質(媒質)がほとんどないため、宇宙空間は基本的に無音です。 |
| 宇宙飛行士の会話 | 音ではなく電波(無線)でやり取りしています。真空でも伝わる電波が、音の代わりに声を届けます。 |
音は「振動を伝える物質」があってはじめて伝わります。物質が密なほど速く、なければ伝わりません。
なぜ宇宙は無音なの?
- 音とは「媒質の振動」が伝わること音は、空気や水のような物質(これを媒質と呼びます)の粒が次々に振動を受けわたしていく現象です。声も楽器の音も、まわりの物質がふるえて耳まで届きます。つまり、振動を伝える物質がそこになければ、音は生まれても伝わりません。
- 宇宙はほぼ真空で、媒質がない宇宙空間はほとんど何もない「真空」に近い状態で、音を伝える物質がほぼありません。空気中なら約340m/sで伝わる音も、真空では速さ以前に、そもそも伝わるための粒がないのです。だから宇宙は基本的に無音です。
- だから無音、会話は電波でおこなう音が伝わらない宇宙でも、宇宙飛行士どうしは会話ができます。真空でも進める電波(無線)を使って声をやり取りしているからです。音ではなく電波が、声を運ぶ役目をしています。
よくある誤解
どんなに大きな出来事でも、音を伝える物質がなければ音は届きません。宇宙はほぼ真空なので、爆発が起きても、その音が外の空間を伝わってくることはありません。映画やアニメで聞こえる音は、状況をわかりやすく伝えるための演出だと考えると、現実とのちがいに戸惑わずにすみます。
- 音は「大きさ」ではなく「媒質があるか」で伝わるかが決まる。
- 宇宙飛行士の会話は音ではなく電波——真空でも電波は伝わる。
- よく聞く「宇宙の音」はデータを音に変えた可聴化で、本物の音ではない。
よくある質問
なぜ真空では音が伝わらないのですか?
音は、空気や水のような物質(媒質)の振動が次々に伝わっていく現象だからです。宇宙空間はほぼ真空で、振動を受けわたす物質がほとんどありません。そのため、音が伝わるための「橋渡し役」がなく、宇宙は基本的に無音になります。空気中では音はおよそ340m/sで伝わりますが、真空ではその速さ以前に伝わること自体ができません。
映画の宇宙シーンで聞こえる爆発音は本物ですか?
現実の音ではなく、迫力を出すための演出です。実際の宇宙はほぼ真空で音が伝わらないため、爆発が起きても外には音が届きません。映画やアニメの爆発音や効果音は、観客に状況を伝えるために加えられた表現だと考えてください。
宇宙飛行士はどうやって会話しているのですか?
声そのものを空気で飛ばしているのではなく、真空でも伝わる電波(無線)を使って会話しています。宇宙服のヘルメットの中には空気があるので自分の声は自分に聞こえますが、外の真空には音が伝わりません。そこで、声を電波に変えてやり取りしています。
ときどき聞く「宇宙の音」は本物の音ですか?
厳密には、そのまま耳に届いた音ではありません。探査機などがとらえた電磁波のデータを、人が聞ける音に変換した「ソニフィケーション(可聴化)」と呼ばれる表現です。データを音に置きかえているので、本物の音そのものではなく、目に見えないデータを耳で感じられるようにした工夫だと考えてください。なお、銀河団の希薄なガスの中では超低周波の圧力波が伝わる例もありますが、これも人の耳には聞こえません。
出典
本記事の内容は、以下の一次情報をもとに記載しています。
- JAXA(宇宙航空研究開発機構)宇宙環境の基礎
- 国立天文台天文の一次情報