宇宙のふしぎ
ブラックホールってどんな穴? ― 光さえ出られない場所
ブラックホールと聞くと、なんでも吸い込む「穴」を思いうかべるかもしれません。でも本当は穴ではなく、巨大な質量が極めて小さな領域に集中した天体です。重力が強すぎて、ある境界より内側からは光さえ出られない――だから黒く見える、その不思議を見ていきましょう。
かんたんな答え
まず結論から
ブラックホールは穴ではなく、重力が極まった天体。
巨大な質量が極めて小さな領域に集中しているため、重力がけた違いに強くなります。「事象の地平面」と呼ばれる境界より内側からは光さえ脱出できず、だから黒く見えます。ただし「なんでも吸い込む掃除機」ではなく、十分に離れていれば天体は普通に周囲を公転できます。
ブラックホールの主な種類
| 恒星質量ブラックホール | 重い星が一生の最期に超新星爆発を起こしたあとに残るタイプ。重さは太陽の数倍から数十倍ほどです。 |
|---|---|
| 超大質量ブラックホール | 銀河の中心にある、けた違いに重いタイプ。太陽の数百万倍から数十億倍にもなります。天の川銀河の中心にある「いて座A*(エースター)」は太陽の約400万倍です。 |
重さはおおよその目安です。「いて座A*」は天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホールで、太陽の約400万倍の重さがあります。
なぜ「穴」ではないの?
- 巨大な質量が極小領域に集中ブラックホールは、ぽっかり空いた「穴」ではありません。とても大きな質量が、おどろくほど小さな領域にぎゅっと集まった天体です。だからその周りの重力が、けた違いに強くなります。
- 事象の地平面より内は光も出られない重力が強すぎて、ある境界より内側からは光さえ脱出できなくなります。この境界を「事象の地平面(じしょうのちへいめん)」と呼びます。光が届かないので、私たちの目には黒く見えるのです。
- 吸い込む穴ではなく、強い重力の天体「なんでも吸い込む掃除機」というイメージは正確ではありません。十分に離れていれば、ほかの天体は地球が太陽を回るように、ブラックホールの周りを普通に公転できます。
よくある誤解
ブラックホールはたしかに強い重力を持ちますが、近くにあるものを片っぱしから吸い寄せる掃除機ではありません。重力の強さは距離によって変わり、十分に離れていればほかの天体は安定して周りを回り続けられます。
- 「穴」ではない――巨大な質量が極めて小さな領域に集中した天体。
- 黒く見えるのは光が出られないから――事象の地平面より内は光も脱出できない。
- 本体は直接見えない――2019年にEHTが撮ったのは、ブラックホールの「影」。
よくある質問
ブラックホールは本当に「穴」なのですか?
「穴」という言葉のイメージとは違います。ブラックホールは、巨大な質量が極めて小さな領域に集中した天体です。空間にあいた穴ではなく、重力が非常に強くなった場所だと考えるとわかりやすくなります。
なぜ黒く見えるのですか?
重力がとても強く、ある境界(事象の地平面)より内側からは光さえ脱出できないためです。光が私たちのところまで届かないので、その部分は黒く見えます。
ブラックホールはどうやってできるのですか?
多くは、太陽よりずっと重い星が一生の最後に超新星爆発を起こしたあとに残ります(恒星質量ブラックホール)。また、銀河の中心には太陽の数百万倍から数十億倍にもなる超大質量ブラックホールがあります。
ブラックホールは見ることができるのですか?
ブラックホール本体は光を出さないので直接は見えません。ただし2019年に、イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)がM87銀河の中心にあるブラックホールの「影」を初めて撮影することに成功しました。
出典
本記事の事実・定義は、以下の一次情報をもとに記載しています。
- 国立天文台ブラックホール・銀河の基礎
- JAXA(宇宙航空研究開発機構)高エネルギー天体の一次情報
- イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)ブラックホールの直接撮像