ブラックホールとは?光さえ出られない天体をやさしく解説
ブラックホールと聞くと、なんでも吸い込む「穴」を思いうかべるかもしれません。でも本当は穴ではなく、巨大な質量が極めて小さな領域に集中した天体なんです。重力が強すぎて、ある境界より内側からは光さえ出られない――だから黒く見える、その不思議を一緒にのぞいてみましょう。

かんたんな答え
まず結論から
ブラックホールは穴ではなく、重力が極まった天体。
巨大な質量が極めて小さな領域に集中しているため、重力がけた違いに強くなります。「事象の地平面」と呼ばれる境界より内側からは光さえ脱出できず、だから黒く見えるんですね。ただし「なんでも吸い込む掃除機」ではなく、十分に離れていれば天体は普通に周囲を公転できますよ。
ブラックホールの主な種類

| 恒星質量ブラックホール | 重い星が一生の最期に超新星爆発を起こしたあとに残るタイプ。重さは太陽の数倍から数十倍ほどです。よく知られた例に、はくちょう座の方向にある「はくちょう座X-1」があります。 |
|---|---|
| 中間質量ブラックホール | 恒星質量と超大質量のあいだにあたる、太陽の数百倍から10万倍ほどと考えられるタイプです。見つかっている数はまだ少なく、どのようにできるのかは研究が進められている段階です。 |
| 超大質量ブラックホール | 銀河の中心にある、けた違いに重いタイプ。太陽の数百万倍から数十億倍にもなります。天の川銀河の中心にある「いて座A*(エースター)」は太陽の約400万倍で、地球から約2万6千光年のところにあります。2019年にEHTが影を撮影したM87銀河の中心のブラックホールは、さらに重く太陽の約65億倍もあります。 |
重さはおおよその目安として見てください。「いて座A*」は天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホールで、太陽の約400万倍の重さがあります。

なぜ「穴」ではないの?
- 巨大な質量が極小領域に集中ブラックホールは、ぽっかり空いた「穴」ではありません。とても大きな質量が、おどろくほど小さな領域にぎゅっと集まった天体なんです。だからその周りの重力が、けた違いに強くなります。たとえば太陽と同じ重さをブラックホールにするには、直径6kmほど(半径約3km)まで押し縮める必要があるといわれます。それくらい、ぎゅっと詰まった状態を思いうかべてください。
- 事象の地平面より内は光も出られない重力が強すぎて、ある境界より内側からは光さえ脱出できなくなります。この境界を「事象の地平面(じしょうのちへいめん)」と呼びます。光が届かないので、私たちの目には黒く見えるというわけです。ここで気をつけたいのは、事象の地平面は硬い壁や表面ではないということ。あくまで「そこを越えると二度と戻ってこられなくなる」境目です。この境目の大きさはブラックホールが重いほど大きくなります。
- 吸い込む穴ではなく、強い重力の天体「なんでも吸い込む掃除機」というイメージは、じつは正確ではありません。十分に離れていれば、ほかの天体は地球が太陽を回るように、ブラックホールの周りを普通に公転できますよ。よく言われるたとえですが、もし太陽が同じ重さのブラックホールに置きかわっても、地球の公転はほとんど変わりません。重さが同じなら、離れた場所で感じる重力も同じだからです。
よくある誤解

ブラックホールはたしかに強い重力を持ちますが、近くにあるものを片っぱしから吸い寄せる掃除機ではありません。重力の強さは距離によって変わるので、十分に離れていればほかの天体は安定して周りを回り続けられますよ。
- 「穴」ではない――巨大な質量が極めて小さな領域に集中した天体。
- 黒く見えるのは光が出られないから――事象の地平面より内は光も脱出できない。
- 本体は直接見えない――2019年にEHTが撮ったのは、ブラックホールの「影」。
よくある質問
ブラックホールは本当に「穴」なのですか?
「穴」という言葉のイメージとは、じつは少し違います。ブラックホールは、巨大な質量が極めて小さな領域に集中した天体です。空間にあいた穴ではなく、重力が非常に強くなった場所だと考えるとわかりやすいですよ。
なぜ黒く見えるのですか?
重力がとても強く、ある境界(事象の地平面)より内側からは光さえ脱出できないためです。光が私たちのところまで届かないので、その部分は黒く見えるんですね。
ブラックホールはどうやってできるのですか?
多くは、太陽よりずっと重い星が一生の最後に超新星爆発を起こしたあとに残ります(恒星質量ブラックホール)。また、銀河の中心には太陽の数百万倍から数十億倍にもなる超大質量ブラックホールもありますよ。
ブラックホールは見ることができるのですか?
ブラックホール本体は光を出さないので、直接見ることはできません。ただし2019年に、イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)がM87銀河の中心にあるブラックホールの「影」を初めて撮影することに成功しています。まわりを回るガスが出す光や、近くの星の動きから、その存在を確かめる方法もありますよ。
地球がブラックホールに吸い込まれる心配はありますか?
その心配はありません。太陽系の近くにブラックホールは見つかっていませんし、たとえ太陽が同じ重さのブラックホールに置きかわったとしても、離れた場所で感じる重力は変わらないので、地球はこれまで通り公転を続けます。「近づいたら何でも吸い寄せられる」というのは、よくある誤解なんですね。
ブラックホールの中心はどうなっているのですか?
一般相対性理論では、中心に密度が極めて高い「特異点(とくいてん)」があると予測されています。ただしそこでは私たちが知っている物理法則がうまく通用しなくなるため、実際に何が起きているのかはまだよくわかっていません。今も研究が続けられているテーマですよ。
出典
本記事の事実・定義は、以下の一次情報をもとに記載しています。
- NASA Science|Black Holes事象の地平面、降着円盤、ブラックホールの基礎
- NASA Science|Types of Black Holes恒星質量・中間質量・超大質量ブラックホールの分類
- NASA Science|First Image of a Black Hole2019年のM87ブラックホールの影の初撮像


