宇宙のふしぎ

星の光は、何年前の光? ― 夜空は過去のアルバム

今夜あなたが見上げる星は、じつはずっと昔に出発した光かもしれません。星の光は瞬時には届かず、遠くから長い時間をかけて旅してきます。だから夜空は、いろいろな時代の光が集まった“過去のアルバム”。その鍵をにぎるのが「光年」という言葉です。

かんたんな答え

まず結論から

星の光は、その星までの距離の分だけ昔に出発した光。

「光年」は時間ではなく“光が1年で進む距離”の単位です。約430光年の北極星なら約430年前、約250万光年のアンドロメダ銀河なら約250万年前の姿が見えています。月は約1.3秒前、太陽は約8分19秒前。同じ夜空に、いろいろな時代の光が同居しているのです。

もくじ
  1. 天体ごとの「光の年齢」
  2. なぜ過去の光を見ているの?
  3. よくある誤解
  4. よくある質問

天体ごとの「光の年齢」

天体ごとに、いま見えている光が出発した時期
約1.3秒前の光。地球にいちばん近い天体なので、ほぼ「今」に近い姿が見えています。
太陽約8分19秒前の光。仮に太陽が消えても、わたしたちが気づくのは8分以上あとになります。
ケンタウルス座アルファ約4.3年前の光。太陽の次に近い恒星系で、いちばん近いおとなりの星でも数年前の姿です。
ベガ(こと座)約25年前の光。夏の夜空で明るく輝く星も、四半世紀前に出発した光を見ています。
北極星(ポラリス)約430年前の光。今夜見える北極星の光は、戦国時代の終わりごろに旅立ったものです。
アンドロメダ銀河約250万年前の光。肉眼で見える最も遠い天体のひとつで、人類が登場するより前の姿です。

数字はおおよその目安です。距離が遠いほど、光が旅してきた時間も長くなります。

図:近いほど新しく、遠いほど昔の光。同じ夜空に、秒前から数百万年前までの光が同居している。

なぜ過去の光を見ているの?

  1. 光年は距離の単位(時間ではない)「光年」は“光が1年で進む距離”のこと。つまり長さの単位で、約9.46兆kmにあたります。光の速さは秒速約30万km(299,792km/s)で、1秒あれば地球を約7周半もできます。それほど速い光が1年かけて進む、とてつもない距離が1光年です。
  2. 見えているのは出発したときの過去の光星の光は瞬時には届きません。遠くから長い時間をかけて旅してきます。だから今あなたが見ている星は、その光が出発した“過去のすがた”。月は約1.3秒前、太陽は約8分19秒前の光を見ています。
  3. 遠いほど、より昔の姿を見ている距離が遠いほど、光が旅する時間も長くなります。約4.3光年のケンタウルス座アルファは約4.3年前、約430光年の北極星は約430年前、約250万光年のアンドロメダ銀河は約250万年前の姿。夜空は、時間の異なる光の寄せ集めなのです。

よくある誤解

「光年」は時間の長さではない

「100光年」と聞くと“100年という時間”のように感じてしまいますが、光年はあくまで距離の単位です。星までの遠さを、光が進む距離でものさしにしているだけ。混乱しがちなポイントを整理しておきましょう。

  • 光年は距離——“光が1年で進む距離”で、約9.46兆km。時間ではない。
  • 光の速さは決まっている——秒速約30万km(299,792km/s)で、1秒に地球を約7周半。
  • 近い天体ほど“今に近い”——月は約1.3秒前、太陽は約8分19秒前の光。

よくある質問

光年は時間の単位ではないのですか?

光年は時間ではなく「距離」の単位です。光が1年間に進む距離を1光年と呼び、約9.46兆kmにあたります。光の速さは秒速約30万km(299,792km/s)と決まっているため、“光がどれだけ進んだか”を距離としてあらわせます。「○光年離れている」は「そこへ向かうのに光でも○年かかる遠さ」という意味です。

いま見ている星の光は、いつ出発したものですか?

その星までの距離(光年)と同じだけ昔に出発した光です。たとえば約25光年のベガなら約25年前、約430光年の北極星なら約430年前に旅立った光が、今ようやく地球に届いています。近い天体ほど“最近”の姿で、月は約1.3秒前、太陽は約8分19秒前の光を見ています。

いちばん近い星でも、今の姿は見られないのですか?

太陽の次に近い恒星系ケンタウルス座アルファでも約4.3光年離れており、見えるのは約4.3年前の光です。これより近い恒星はないため、太陽以外の星については“ぴったり今”の姿を肉眼で見ることはできません。それでも数年前というのは、宇宙のスケールではごく最近のことです。

夜空にはいろいろな時代の光が混ざっているのですか?

そのとおりです。同じ夜空でも、月は約1.3秒前、近い星は数年前、北極星は約430年前、アンドロメダ銀河は約250万年前と、光が出発した時代はばらばらです。夜空は、さまざまな時間の光が一枚に集まった“過去のアルバム”のようなものだと考えると、見上げる楽しさが増します。

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文・編集
コペミル編集部
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