宇宙業界へ未経験から転職できる?企業21社・参加者50名に聞いた、仕事・採用ニーズ・キャリアの現在地 ― SPACETIDE Career Connect 2026
「宇宙業界で働いてみたい。でも、宇宙の仕事をした経験がない自分でも転職できるのだろうか」。宇宙に興味があっても、そこで自分が働く姿まではなかなか想像できない。そんな人は少なくないかもしれません。

かんたんな答え
まず結論から
宇宙業界は、未経験からでも入口がある。
回答のあった出展企業18社中16社が、何らかの形で宇宙業界未経験者を採用対象にしていました。求められているのはエンジニアだけでなく、BizDev、PM、営業、マーケティング、人事、コーポレートまで幅広い職種です。一方で、参加者の約4人に3人は「まずは情報収集したい」段階。「自分の経験が宇宙でどう活きるのか分からない」という情報の距離も見えてきました。
取材について
宇宙の仕事と聞いて思い浮かぶのは、ロケットや人工衛星を開発するエンジニア、研究者などでしょうか。けれど、実際に宇宙企業へ話を聞いてみると、必要とされているのは技術職だけではありませんでした。事業開発、プロジェクトマネジメント、営業、マーケティング、人事、コーポレート。宇宙産業が広がるにつれて、「宇宙で働く」の選択肢も広がっています。
2026年9月26日に開催された「SPACETIDE Career Connect 2026」。宇宙産業で人材を求める企業と、宇宙業界でのキャリアに関心を持つ人たちが集まるこの会場で、CoperniX編集部が取材を行いました(開催前の告知記事はこちら)。
話を聞いたのは、出展企業21社と参加者50名です。企業には、いま求めている職種、宇宙業界未経験者の採用、異業種で培った経験の活かし方について。参加者には、宇宙に興味を持ったきっかけや、やってみたい仕事、企業と実際に話して感じたことを聞きました。
宇宙業界への転職は、本当に宇宙経験者だけのものなのか。企業と参加者、双方の声から「宇宙で働く」の現在地を見ていきます。
もくじ
宇宙業界への転職・就職を考えているのは、どんな人?
今回話を聞いた参加者のバックグラウンドはさまざまでした。ITや電機、自動車などの技術系だけでなく、コンサルティング、物流、広告、建設・設備、翻訳など、これまで宇宙とは別の業界で働いてきた人も会場を訪れています。「宇宙業界に興味がある人」と聞くと、学生や若手エンジニアを想像するかもしれませんが、実際にはそれだけではありませんでした。
20代だけではない。30代・40代・50代以上も宇宙キャリアに関心

年代について回答が得られた30名では、20代以下が40%、30代が30%、40代が17%、50代以上が13%でした。若手だけでなく、すでに別の業界でキャリアを積んできた30代以降の参加者もいます。
最初の就職先として宇宙業界を見る人もいれば、これまでの経験を持って次の業界へ移ろうとしている人もいる。会場には、さまざまなキャリア段階の人が集まっていました。
約4人に3人は「まずは情報収集」。転職を決める前に知りたい人が多い
一方、宇宙業界への転職をすでに決めている人は少数派でした。

回答者の74%は「まずは情報収集したい」。一方、「ぜひ就職・転職を検討したい」は23%でした。つまり、多くの参加者はまだ「転職する」と決めている段階ではありません。
どんな企業があるのか。どんな仕事があるのか。今の自分の経験が使えるのか。まずそれを知りたい。今回のヒアリングを通して、この“転職の一歩手前”にいる人の多さが見えてきました。
宇宙業界にはどんな仕事・職種がある?企業21社の採用ニーズ
宇宙業界で求められているのは、エンジニアだけではありません。今回取材した企業では、ソフトウェアやハードウェアの技術職に加え、BizDev、PM、営業、マーケティング、人事、コーポレートまで幅広い職種に採用ニーズがありました。

ソフトウェア・ハードウェアだけではない。BizDev、PM、営業にも採用ニーズ
出展企業に、現在求めている職種を聞きました。

回答企業では、ソフトウェアエンジニアが100%、ハードウェアエンジニアが94%。技術人材への採用ニーズの高さが目立ちます。一方、BizDevも78%。PM、電気・電子、コーポレートはそれぞれ61%。国内営業、海外営業、マーケティング、人事・採用も、それぞれ56%の企業が挙げました。
宇宙に関わる製品やサービスを生み出すには技術者が必要です。しかし、それを事業として成立させ、顧客へ届け、会社を成長させるには技術者だけでは足りません。今回の回答には、そんな宇宙企業の現在地が表れています。
マーケティング、人事、コーポレートも。「宇宙を支える仕事」は幅広い
「宇宙業界で働く」と聞くと、ロケットや人工衛星そのものに関わる仕事を想像しがちです。けれど、一つの企業を動かすには、事業をつくる人も、売る人も、人を採用する人も必要です。
BizDevが新しい市場を開き、営業が顧客との接点をつくり、マーケティングが価値を伝える。人事や経理、法務、総務が組織を支える。「宇宙をつくる仕事」だけでなく、「宇宙企業を動かす仕事」もある。エンジニアではないからといって、最初から宇宙業界を自分の選択肢から外す必要はなさそうです。
宇宙業界は未経験でも転職できる?企業21社に聞いた採用の実態
宇宙業界に興味を持ったとき、最初のハードルになりやすいのが「宇宙業界で働いた経験がない」という点です。実際の採用現場では、宇宙業界未経験者はどのように見られているのでしょうか。
回答企業の約9割が、何らかの形で宇宙業界未経験者を採用対象に

72%が「業界未経験でも幅広く採用している」と回答。さらに17%が「職種・ポジションによっては業界未経験でも採用している」と答えました。合わせると、回答18社中16社が、少なくとも何らかの形で宇宙業界未経験者を採用対象としていました。
宇宙業界で働いたことがない。その一点だけで、最初から可能性がなくなるわけではありません。
ただ、ここは切り分けて考える必要があります。宇宙業界での経験を求めないことと、仕事上の経験や専門性を求めないことは別です。企業が見ているのは、「宇宙で働いたことがあるか」だけではなく、これまで何をしてきた人なのかです。
ソフトウェアを開発してきた。ハードウェアを設計してきた。大きなプロジェクトを動かしてきた。新規事業を立ち上げてきた。顧客を開拓してきた。そうした別の業界での経験を、宇宙でどう活かせるか。未経験から宇宙業界への転職を考えるなら、ここが重要になりそうです。
異業種から宇宙業界へ。転職で活かせる経験・スキルとは
企業へのヒアリングでは、「異業種で培ったどんな経験が活かせるか」についても聞きました。結果を見ると、宇宙業界との接点は想像以上に広がっています。
IT・電機、自動車、航空、通信——宇宙につながる業界経験

最も多く挙げられたのはIT/電機の86%。自動車/二輪が71%、航空が62%、通信が57%と続きました。特に、ものづくりや大規模システムに関わってきた業界では、宇宙分野にもつながる経験があります。ただし、企業が見ているのは前職の業界名だけではありません。

PM、BizDev、営業も。企業が評価するのは「どの業界にいたか」だけではない

ソフトウェアエンジニアの経験を挙げた企業は86%。ハードウェアエンジニアとPMは81%、BizDevと電気・電子は76%でした。機械設計、営業、コーポレート、マーケティング、人事・採用なども挙げられています。
ここで大切なのは、「自分は宇宙業界の経験者か」ではなく、「自分は何ができる人なのか」という見方です。業界が変わっても、設計や開発、プロジェクト管理、事業開発、営業といった仕事で培った力までなくなるわけではありません。
異業種から宇宙業界へ移ることは、キャリアをいったんゼロに戻すことではない。今回の企業回答からは、これまでの経験を持ち込める仕事が複数あることが見えてきました。
宇宙業界に興味を持つ人は、なぜ「宇宙で働きたい」と考えるのか
ここまでは企業が求める人材を中心に見てきました。では、参加者はなぜ宇宙を「仕事」として考え始めたのでしょうか。

最多は「昔から宇宙が好き」。回答の46%を占める

最も多かったのは、「昔から宇宙が好き」で、回答全体の46%。「宇宙産業の成長性に興味を持った」が22%で続きました。成長産業であることに魅力を感じる人がいる一方、そのもっと前にある「昔から好きだった」という感情も、多くの参加者に共通しています。
「はやぶさ」「ロケット」「星空」。“好き”がキャリアを考えるきっかけに
「子どものころに見た『はやぶさ』の映画がきっかけでした」
参加者の声
「宇宙が好き」といっても、その始まりは人それぞれです。星が好きだった。ロケットの打ち上げに惹かれた。宇宙飛行士に憧れた。映画や作品をきっかけに宇宙に興味を持った。
「未来をつくる、人間の最前線にワクワクする。宇宙業界にはロマンがある」
参加者の声
子どものころから好きだったものが、そのまま仕事になるとは限りません。ただ、宇宙企業で必要とされる仕事の幅が広がることで、「好きだった宇宙」をキャリアの選択肢として考えられる人も出てくるのかもしれません。
宇宙業界で働きたい人は、どんな職種に興味を持っている?
参加者にも、宇宙業界で興味のある仕事を聞きました。
ハードウェア、BizDev、ソフトウェアなど、関心のある仕事も多様

最も多かったのはハードウェアエンジニアの26%。次いでBizDevが22%、ソフトウェアエンジニアとコーポレートが15%、衛星運用とPMが11%でした。技術職だけでなく、事業開発やコーポレートに関心を持つ人もいます。
「宇宙で働きたい」という一つの言葉の中にも、目指している仕事はさまざまです。では、企業が求める職種と参加者が興味を持つ職種を並べると、何が見えてくるのでしょうか。
企業が求める職種と、参加者がやりたい仕事を比べると?
今回の調査では、企業側と参加者側の双方に職種について聞いています。それぞれの回答割合を同じ分類で並べてみました。

企業側には、参加者がまだ気づいていない仕事もあるかもしれない
企業側では、ソフトウェア、ハードウェア、BizDev、PM、コーポレートなど幅広い職種に採用ニーズがあります。一方、今回ヒアリングした参加者の関心は、ハードウェアやBizDevなど一部の職種に比較的集まりました。
もちろん、この比較だけで「どの職種で人が足りないのか」を判断することはできません。企業側と参加者側で母数も異なり、今回の参加者が転職希望者全体を代表しているわけでもありません。
ただ、一つ気になる点があります。企業側には存在しているのに、宇宙業界の外にいる人にはまだ知られていない仕事があるのではないか。自分では宇宙と関係ないと思っていた営業やPM、コーポレートの経験が、実は宇宙企業でも必要とされている。そんな接点を知るだけでも、「自分には宇宙の仕事はない」という見え方は変わりそうです。
企業と直接話すと、宇宙業界への転職イメージはどう変わる?
Career Connectでは、求人票を見るだけでなく、企業の担当者と直接話すことができます。仕事内容や必要な経験だけでなく、どんな人が働いているのか、自分の経験ならどこで活かせそうか。その場で確かめられるのが、対面イベントならではのところです。

「興味のある企業が見つかった」が最多。仕事内容への理解も深まった

本設問の回答数は限られていますが、その中では「具体的に興味のある企業が見つかった」が31%で最も多くなりました。「宇宙業界への興味が強まった」「宇宙業界や仕事内容への理解が深まった」「具体的に興味のある仕事が見つかった」は、それぞれ19%。「自分の経験が宇宙でも活かせそうだと感じた」「応募・選考を検討したいと思った」という回答もありました。
「宇宙には興味がある」という状態から、「この会社が気になる」「この仕事ならやってみたい」へ。企業との会話を通じて、ぼんやりしていたキャリアのイメージが具体的になった人もいたようです。
求人票では分からない「会社の雰囲気」を知りたい人も
「大企業とは違う、宇宙ベンチャーの雰囲気を知りたい」
参加者の声
転職先を考えるときに知りたいのは、職種や応募条件だけではありません。どんな人と働くのか。どんな雰囲気なのか。どんなスピードで仕事が進むのか。特に大企業や異業種から宇宙ベンチャーへの転職を考える人にとっては、求人票だけでは見えない情報も判断材料になります。
宇宙業界への転職で感じる「情報不足」という壁
今回のヒアリングで特に印象に残ったのは、「宇宙に興味がない」という話ではありませんでした。むしろ聞こえてきたのは、興味はある。でも、自分と宇宙業界のつながり方が分からない。という声です。

「自分が応募できる求人なのか分からない」
「企業が求めている人材像がまだ少しふわっとしている。必須の条件と、あれば望ましい条件のボーダーを知りたい」
参加者の声
求人票に職種名や応募条件が書かれていても、それだけでは「自分が対象なのか」を判断しづらいことがあります。異業種で近い仕事をしてきた人は応募していいのか。宇宙業界での経験は必須なのか、歓迎条件なのか。その境目が見えなければ、実際には可能性があっても、「自分には難しい」と応募する前に諦めてしまうかもしれません。
「宇宙業界が何をしているのか分かりにくい」
「宇宙業界は何をやっているのか分かりにくい。情報までの距離が遠いと感じる」
参加者の声
「宇宙業界」と一言でいっても、衛星、ロケット、地上局、データ利用、宇宙輸送など、その領域はさまざまです。さらに同じ企業の中にも、技術開発、事業開発、営業、コーポレートなど違う仕事があります。
外から見たときに、「どの会社で、誰が、何をしているのか」が分かりにくい。宇宙に興味はあるのに、自分がどこを見ればいいのか分からない。そんな距離がまだあります。
「今のスキルが宇宙で通用するのか知りたい」
「自分のスキルをベースに、宇宙でも活躍できるのか知りたい」
参加者の声
この言葉は、今回のヒアリングを象徴しているように思います。企業側の回答を見ると、IT、自動車、通信などの業界経験や、PM、BizDev、営業などの職種経験を活かせる可能性があります。それでも参加者から見ると、「自分がやってきた仕事」と「宇宙企業が求める仕事」がどうつながるのかが見えにくい。
企業側には入口がある。でも、その入口が外からはまだ見つけにくい。企業と参加者の両方に話を聞いたことで、そんな情報の距離も見えてきました。
宇宙業界への転職は、「今までの経験」をどう活かすかから始まる
出展企業21社と参加者50名に話を聞いて見えてきたのは、宇宙業界への入口が一つではないということでした。もちろん、宇宙分野ならではの専門知識や経験が欠かせない仕事もあります。一方で、今回取材した企業の多くは、職種やポジションによって宇宙業界未経験者も採用対象としていました。
ソフトウェアを開発してきた人。ものづくりに携わってきた人。大きなプロジェクトを動かしてきた人。新しい事業をつくってきた人。顧客と向き合ってきた人。会社を裏側から支えてきた人。そうした経験の先に、宇宙とつながる仕事があるかもしれません。
大切なのは、「宇宙業界で働いたことがない」という理由だけで選択肢から外すのではなく、自分がこれまで何をしてきたのかを、一度ほどいてみることなのだと思います。
参加者へのヒアリングでは、約4人に3人が「まずは情報収集したい」と答えていました。今すぐ転職を決める必要はありません。どんな企業があるのかを知る。どんな仕事があるのかを知る。そこで求められている経験を知る。そのうえで、自分が積み重ねてきたものとの接点を探してみる。
宇宙を見る。宇宙を知る。宇宙を好きになる。その先に、「宇宙を仕事にする」という選択肢があります。「宇宙が好き」の、その先へ。
SPACETIDE Career Connect 2026の会場では、宇宙を遠くから見ていた人が、自分のキャリアとして宇宙を考え始める。そんな会話が、あちこちで生まれていました。
調査概要
SPACETIDE Career Connect 2026会場にて、株式会社CoperniX編集部が出展企業21社および参加者50名にヒアリングを実施しました。企業には採用ニーズ、宇宙業界未経験者の採用、異業種で活かせる経験などについて、参加者には現在のキャリア、宇宙業界に興味を持った理由、興味のある職種、イベント参加後の感想などを聞いています。
設問によって未回答があるため、有効回答数はそれぞれ異なります。グラフの割合は各設問の有効回答数を分母として算出します(「宇宙業界に興味を持った理由」のみ、全回答数を分母とした構成比)。自由回答については、回答内容をもとにCoperniX編集部が分類・整理しています。参加者のコメントは、当日のヒアリングメモをもとに、趣旨を変えない範囲で読みやすく編集しています。複数回答項目では、割合の合計が100%を超える場合があります。
本調査はSPACETIDE Career Connect 2026の出展企業および来場者のうち、取材に協力いただいた方を対象としたものであり、宇宙産業全体の企業・求職者を代表するものではありません。
よくある質問
宇宙業界は、未経験でも転職できますか?
今回ヒアリングした出展企業のうち、回答のあった18社中16社(約9割)が、何らかの形で宇宙業界未経験者を採用対象にしていました。ただし「宇宙業界での経験を問わない」ことと「仕事上の経験や専門性を問わない」ことは別です。企業が見ているのは、これまで何をしてきた人なのか、その経験を宇宙でどう活かせるかです。
宇宙業界では、どんな職種が求められていますか?
回答企業18社では、ソフトウェアエンジニア(100%)とハードウェアエンジニア(94%)に加えて、BizDev(78%)、PM・電気電子・コーポレート(各61%)、国内営業・海外営業・マーケティング・人事採用(各56%)にも採用ニーズがありました。技術職だけでなく、事業をつくる人・売る人・会社を支える人も求められています。
異業種のどんな経験が、宇宙業界で活かせますか?
出展企業21社に聞くと、業界経験ではIT/電機(86%)、自動車/二輪(71%)、航空(62%)、通信(57%)が多く挙がりました。職種経験ではソフトウェア(86%)、ハードウェアとPM(各81%)、BizDevと電気・電子(各76%)のほか、営業、コーポレート、マーケティング、人事・採用なども挙げられています。
出典
本記事の数値・参加者の声は、CoperniX編集部がSPACETIDE Career Connect 2026の会場で実施したヒアリング(調査概要を参照)に基づきます。
- SPACETIDE Career Connect 公式サイトイベントの開催概要(主催:SPACETIDE)



